金曜, 22 3月 2013 12:47

未来に残してはならないもの・・①

風化させてはいけない。

人類と共存できないものになぜ執着するのだろうか?

どんな得があるのだろうか?

だれがどんな得をするのだろうか?

【社説】①
3・11から2年 後退は許されない
2013年3月11日  東京新聞

風化が始まったというのだろうか。政府は時計の針を逆回りさせたいらしい。二度目の春。私たちは持続可能な未来へ向けて、新しい一歩を刻みたい。


 ことし一月、フィンランドのオンカロ(隠し場所)を取材した。使用済み核燃料を地中深くに埋設する世界初の最終処分場である。

 オンカロを運営するポシバ社の地質学者のトーマス・ペレさんが、その巨大な洞窟の道案内を務めてくれた。

 二〇二〇年ごろから核のごみを搬入し始め、八十年で処分と管理を終えて埋め戻し、入り口はコンクリートで固く閉ざして、元の自然に返すという。

◆ゼロベースで見直すと
 「地上には何の印も残さない。そこに何かがあるとは、誰も気付かないように。ここは忘れるための施設なんだよ」
 ペレさんのこの言葉こそ、忘れられるものではない。
 忘れることで危険がなくなるわけではない。先送りするだけなのだ。いつかきっと誰かがそこを掘り返す。

 あれから二年、安倍政権には後戻りの風が吹いている。
 首相は一月の国会答弁で「前政権が掲げた『二〇三〇年代に原発ゼロ』の方針は具体的根拠を伴っていない。ゼロベースで見直す」と、脱原発の方針をあっさり打ち消した。
 先月末の訪米時には、ゼロ戦略の見直しと原発維持を、オバマ大統領に告げている。
 また施政方針演説では「妥協することなく安全性を高める新たな安全文化を創り上げます。その上で、安全が確認された原発は再稼働します」と、早期再稼働に意欲を見せた。

 安倍首相の発言に呼応して、霞が関も回帰を急ぐ。エネルギー基本計画を話し合う有識者会議から、脱原発派を一度に五人も追い出した。
 核のごみでは、前政権が打ち出した直接処分の検討を撤回し、使用済み燃料からプルトニウムなどを取り出して再び使う再処理を維持しようという動きもある。再処理を維持するということは、トラブルだらけの核燃料サイクル計画を続けていくということだ。
 そういえば、忘れていたようだ。電力業界ともたれ合い、半世紀前から国策として原発立地を推し進めてきたのは誰だったのか。安全性や核のごみ処理を置き去りにしたままで、世界有数の地震国に五十基を超える原子炉を乱立させたのは、ほかならぬ自民党政権だったのではないか。

 



 

 


  

 

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